福島県民医連(福島県民主医医療機関連合会)

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放射線対策

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原発事故に対する政府の対応の問題点と全日本民医連の考え方

■国と東京電力の責任で、住民の生涯にわたる健康管理・生活保障を求めます

広島・長崎に投下された原爆による健康被害は70年たった今なお多くの被害者を苦しめています。広島・長崎の原爆被爆者やマーシャル諸島での核実験、チェルノブイリ原発事故による被ばく者などによる放射線による影響データに基づいて考えると、今回の原発事故による放射線障害の危険性は決して軽視するわけにはいきません。政府による「健康問題は将来にわたり問題ない」などの論調はまったく論外です。すべての被害者の健康を守るために生涯にわたって健康管理と影響調査が重要です。一方、広島・長崎の原爆被爆者の死亡率を引き上げたものは、①被ばく線量の多寡、②家族やコミュニテイーの崩壊による孤独死など、③疾病による負の連鎖、④行政の不作為でした。現に、被害者は、4年にわたる不安定・不自由な生活、将来不安から多くの人たちが健康を害するとともに自殺や孤独死も相次いでいます。こうした経緯をみると、なによりも身体的、精神的な健康管理と生活保障の体制づくりを、国と東京電力および地方自治体の責任で行うことが重要です。今回の原発事故は、日本史上最大の環境汚染であり、公害です。改めて、福島第1原発事故の影響を受けるすべての人に健康管理手帳の発行や無料健診の実施、医療費・介護費用の負担軽減、生活保障を、国と東京電力および地方自治体の責任で行っていくことを求めます。

■改めて、世界中の英知を集めて原発事故の収束を求めます

原発事故から丸4年半が経過しているにもかかわらず事故原因すら特定できず、汚染水が海洋に垂れ流しにされているなど事故は収束していません。一刻も早く原発事故の収束を図るために国は、東京電力任せにせずあらゆる国際機関や世界中の国々の英知を集めて、収束にむけて必要な方策をとることを求めます。避難を強いられ自宅に戻ることができない住民が今なお12万人近くいます。東京都の6割に相当する面積の地域が、放射線量が高く人が住めない地域になっています。原発関連死は1900人を超え、自殺や孤独死が後を絶ちません。補償打ち切りなどで被災者を差別、分断することはもってのほかです。すべての原発事故被害者に対し、生涯にわたり生活保障、健康保障を国と東京電力の責任で行うことが強く求められます。

■直ちにすべての原発を廃炉にし、再生可能なエネルギー政策に転換を求めます

日本は世界トップクラスの地震大国です。およそ1割が日本で発生しています。また、日本は、御嶽山、浅間山、箱根、口之永良部島などの頻発する噴火に見られるように火山活性期に入っているともいわれ、どこで火山噴火が起きてもおかしくないと専門家も指摘しています。このような状況の中で、54基もの原発が建設されてきた事自体が、異常かつ異様と言わざるを得ません。歴代政府与党が、原発は危険であるという批判に聞く耳を持たないで、意図的に「安全神話」を振りまいてきたことや、官僚やOBが原子力企業に天下り、「原子力ムラ」をつくり利権を得てきた構造が、今回の大事故につながっています。私たち民医連は、全日本民医連理事会緊急声明(2011.4.2)にあるように、改めて原発に頼らないエネルギー政策の抜本的な見直しを行い、安全で再生可能なエネルギー政策へ転換していくことを強く求めます。ドイツ、イタリア、オーストリア、ベルギー、スイス、など多くの国々が福島第1原発事故を契機に原発ゼロ政策に転換しています。日本でもこの2年間、原発を稼働せずとも電力不足はまったくありませんでした。原発の新たな建設、輸出や再稼働は論外です。直ちにすべての原子力発電所の廃炉を求めます。それが福島第1原発事故から学ぶ最大の教訓です。

全日本民医連《新版》原発問題学習パンフレット2015 より

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